こんにちは。日本国際テコンドー協会 大阪・兵庫道場です。
今日のテーマは、お子さんにテコンドーを習わせると、思いやりが身につくというお話です。
テコンドーは武道です。
稽古で身につく精神力や根性というのはイメージしやすいのですが、武道が初めての方は、武道で思いやり?と不思議に思う人もいるようです。
逆に、武道をやっても思いやりなんて身につかないよ!というご意見や経験をお持ちの人もいるかもしれません。
武道で身につく思いやりとは
武道で思いやりが身につくシチュエーションというのはいろいろあるのですが、ざっくりわかりやすく言えば、
・「自分の力の強さの影響力」を知る
・「力の強さを受ける側」の立場を経験する
この二つを通じて思いやりが育まれると思います。
両方の立場を経験することで、お互いの立場が分かるようになります。
これは、日々の稽古の中で育まれていくものです。
テコンドー道場の練習風景からみる思いやりの育ち方
例えば、当道場では、子ども同士で組んで、ミットにキックを練習する時間を取っています。
もちろん、我々師範がミットを持って足技を指導することもありますが、子ども同士の時間もあり、メニューはお子さんの習熟度や指導内容に合わせて組んでいます。
子ども同士の練習の場合は、こんな感じですね。
お子さん1人がミットを持ち、もう一人がミットめがけて蹴り技をします。
この練習、交代で行うことで、蹴る側、蹴られる側を経験できます。
脚で蹴る力は、腕で殴る力とくらべて、平均して20倍強いと言われています。
ちょっと手で突き飛ばされたくらいの威力と比べて、かなり強い力になります。
ミットを持つ側に立つと、その威力がダイレクトにわかります。
しっかり持っていないと受け止めることができません。
蹴る側も、蹴ったミットの音や、ミットを持つ子の反応で、蹴りの強さを実感します。
自分の行ったこと、そしてその影響力、力を受ける側の立場、これが一つの練習で何度もローテーションされます。
お互いの立場がしっかり体感されます。
動画の中でミットの持ち方についても指導していますね。
上下の持ち方、高さはどうか、など、手短に具体的に、その場で言ってあげます。
ミット持っている側も、それなりに腕の力が要りますから、だんだんしんどくなってくると、腕が下がってきます。
ミットが下がってきたらやっぱり蹴りにくいですし、安全面においても良くない。だから師範がすぐにちゃんと持ち直すように声をかけます。
自分がしんどくても、「相手のためを思いやって」頑張る必要が出てくるわけですね。
そして、本当に何気ないことなのですが、繰り返していくうちに、「あ、この人と組むとやりやすい」とか、「こう持ってもらったほうが蹴ったときにいいなぁ」とか、子どもなりに感じるものが出てくるんです。
ミット持つ側もしんどいからといってさぼっていると、相手が蹴りにくいのを体験としてわかるから、ちゃんとしようと思う心が出てきます。そのうち一歩進んで、「こうやったら蹴りやすくなる」と相手のために工夫しだす思いやりが出てきます。
指導する側は、気付きが促進するように、わからない子にはもっと明確に言いますし、良ければその場で良いということを声かけして示します。
ただ頭ごなしに「相手のことを思ってやれ!」みたいな抽象的な言い方はしません。
言われた子どももわかりませんし、怖いから渋々言うことを聞くという気持ちが先立つと本質が伝わりません。
具体的な指導と体験の積み重ねから、自分でわかって身につけていくというのがとても大切です。
明るく楽しく、身も心も強くなれる道場の秘訣
今回のミット蹴りの話は本当に地味なお話しですが、稽古で繰り返される大切な経験の一つです。
思いやりの気持ちというのは、日々の体験と行動の繰り返しによってお子さんの中に育っていくものです。
当道場はテコンドーの指導を通じてそうした成長の場を提供しています。
テコンドーをやったから、武道をやったから、すぐに翌日から人に対して思いやりがでるとか、そういう即物的なものでもないです。なにしろ子どもですから繰り返しと時間も必要です。
怒鳴ったり叱ったところで持てるものでもありません。
時間を経て腑に落ち、思いやりの心を発揮する子もいますし、表にその効果が表れる時期は子どもそれぞれです。
大人がしてあげられるのは、たくさんの体験と機会を用意してあげることでしょう。
こうした指導の考え方や方針は、同じ武道やテコンドーの道場であっても異なると思います。
当道場も、まずは雰囲気や稽古の様子を知ってもらい、納得して通えるよう、見学・体験を行っています。
一度見に来てみてください。